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手で持つ鞄でスマホはつらい

今月の初めに、通勤に使っている鞄が壊れたんです。
ショルダーバッグでファスナーで閉じるヤツなんですけど、
震災の後に買い替えたもので僕の所持品としては結構な額のモノです。
仕事の帰りに買物をして幅の広い荷物を入れてファスナーをぐいっと閉めたら
ファスナーの取り付けてある布部分がべりべりっと破けてしまいまして・・・。
購入した店は某駅ビルに入っていた鞄専門店だったんですが、既に撤退していてたので
その駅ビルに入っている靴・鞄修理店に持ち込みました。
ファスナー交換は難しい作業なので9,000円ちょっとかかります、
修理を行う工場が混んでいて、今預けても2ヵ月半かかります、
という回答で、金額的にも期間的にもちょっとそれじゃあ・・・っていう感じだったので断念し
他を当たることにしました。
ネットで調べてみると、自宅最寄の駅のすぐそばに修理専門店があることがわかりました・・・が
思い起こしてみるとかなり年季の入った建物で、失礼ながらちゃんと直してくれるのかなあという感じ。
まあでも近いし、流石に一万円もかかったりはしないだろうと思って
スケジュールの都合で3週間ほど間が空いてしまいましたが、こないだの土曜日の昼頃持ち込みました。
店内は結構な広さで、おじいさんの職人さんが一人で作業をしていました。
店内に流れているのはAMラジオ。
この昭和感・・・。
人の良さそうなその職人さんは壊れた鞄を見て、修理法を説明してくれました。
・これを直すにはファスナー交換になる
・同じ色で同じ材質のファスナーは現時点でこの店に無いので浅草まで行って探してくることになる
 (曰く「おしゃれな色のファスナー」なので)
・それでも見つからなければ取り寄せになるのでひと月かかるかもしれない
・ファスナー自体を留めている部分も外すのでリベット(皮を留める金具)を交換することになる
・そうするとやはり同じ色・光沢のリベットは探すのは難しい
ということでした。
購入したメーカーに持ち込んだわけではないし、
僕としてはファスナーや金具の色が違ったって全然問題ないんです。
「鞄としてまた使えるようになれば色とかは全然気にしないので、お店にある部品で大丈夫です」
「そう?・・・交換するファスナーの長さで料金が決まるので、これだと4,000円だね」
最初に持ち込んだ店の半額以下・・・。
「それでお願いします」
「わかりました。今からだと・・・うーん、がんばってみるけど日曜までっていうのは難しいなあ」
・・・ん?なぜ日曜まで?
そう、この職人さん、通勤用の鞄だということを察知して、
明後日の月曜から使えるようにするつもりだったのです。
もちろん僕はこの鞄が通勤用だとか、月曜から使いたいとか一切言ってないんですよ。
「あーいや、そんなに急がなくても大丈夫です。
 僕は最短で来週の土曜日にしか受け取りに来られないので
 そのくらいまでに出来ていれば構わないんですよ。」
「そう?それじゃ一週間後を目処で直しますね」
「よろしくお願いします」
こんな感じで鞄を預けましたが
直後に若い女性がブーツの修理の受け取りに店に入ってきて、
思った以上にお客さんが入るお店なんだとわかりました。

翌日、日曜日の夕方、珍しく僕の携帯が鳴りました。
未登録の番号・・・セールスか?
電話に出てみると
「あ、鞄の修理屋です。修理、できましたよ。」
「え?あれ?来週では・・・」
「いや~気になっちゃったんでね、直しちゃったよ。」
なんだってえー!
他の依頼もあったはずなのに、たった一日で作業してくれたとは!
これはもう来週受け取りますとか言ってる場合じゃない。
「ありがとうございます、では後ほどうかがいます」

1時間後、お店に行ってみるとばっちり修理が終わった鞄が出てきました。
「確認してくれるかな。」
確かに以前とはファスナーの色が違いますが全く違和感はありません。
一旦外して取り替えたリベットに関しては言われなければ、いや、言われても違いがわからないくらいのレベル。
っていうか本当にリベット外したの、これ?外した形跡もわからない・・・。
「問題ないです。完璧です。すいません、急いでやっていただいて・・・」
「それ、通勤に使ってるんでしょ?早いほうがいいと思ってね。」
「ありがとうございます・・・びっくりしました」
そりゃそうよ。だって最初に持ち込んだ店では2ヵ月半かかるって言われたんだから。
その後、ファスナーの壊れ易い部分を説明してくれて、
それを防止するファスナーの開け方閉め方を教えてもらいました。
代金を払って、店を出ようとすると、別のお客さんが入ってきて話を始めたので
邪魔にならないように「ありがとうございました」と扉を開けて出ようとすると
「こちらこそありがとうね」と返事をしてくれました。

店の佇まいは正直古くて昭和感ありありですが、
そんなに長いこと駅のすぐそばで営業を続けているということは
やはり腕が立つ職人さんがきっちり仕事をして、
さらにお客さんのことをいろいろと察知して気遣ってくれて
それでたくさんの人に信頼されているということなんですよね。
そういう職人さんってやっぱりかっこいいですよ、ほんと。
そんな職人さんに直してもらった鞄、
ますます大事にして長く使っていこうと思います。

by CHDproduction | 2015-10-26 12:26 | from Ordinary Days