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SUPER PIANO LESSON

「SUPER PIANO LESSON」。それはNHK教育の番組です。
深夜にチャンネル回してたら偶然放送を目にすることができました。
最初は「あーまた初心者向けの趣味講座か」と思ったんですが
見てたらびっくり。
先生はジャン・マルク・ルイサダというフランスの方。
もちろん僕は全然存じ上げませんが、
きっとピアノやってる人なら誰でも知ってるくらいのひとなんでしょう。
僕が見たのはショパンの曲をやってまして、
生徒の日本人の方はフランス語ペラペラ。留学中なのかな。
クラシックピアノに関して全く知識のない僕が見ても十分上手い、
いや、かなり上手い方なのですが、先生が、細かく細かく指導します。
要するに「上級者のレッスン風景を放送してる」番組なのです。
生徒さんも相当な実力者なので何を教えるのかと思ってたら
一言で言うと「表現」ですな。
テクニックも感心するほど細かい指導しますが、
あくまでも表現するためのテクニックで「弾ける」ことが目的ではありません。
「でも、そんなに違うものかな?」とも思いましたが、
同じフレーズを先生が弾くとぜんっぜん違うんですな、これが。
一流とはこれか!これが一流なのか!

しかも・・・まあテレビで映してるせいもあるんでしょうが・・・
この先生、絶対に叱らない。
「違います」と言って何度も演奏を止めますが、
「なんだそれは」みたいなことはもちろん言わない。
「こう弾きなさい」とも言わない。
「これは私の提案ですが・・・」と言って弾き方を教えます。
うまく弾けると「ブラボー」だけでなく、
「もっと良くなります」とか、時には「ありがとう」とも言うのです。
こりゃあ教え方も一流ですよ。
特に芸術なんて、スパルタで教え込むモンじゃないですもんね。
嫌がる娘に無理やりピアノ教室に通わせて・・・
なんていうのとは全く次元の違う世界です。素晴らしかった。
なんか僕までレッスンを受けた気分になりました。

ショパンは天才と言われてますが、実際のショパンの演奏が
残っているわけではありませんし、お叱りを覚悟で言わせていただくと、
ひょっとするとショパンより上手いピアニストはもう現れているのかもしれません。
指導するといっても「完全なる手本」はもう存在しないわけで
指導者の感性と解釈にゆだねられているということになります。
ということは、指導者の言ってることが本当に正解なのかどうかは
厳密に言うと誰にもわからないわけですよね。
そう考えると、芸術系の指導をするってすごく不確かなものですよね。
算数みたいに正解はひとつじゃありませんからね。
でも、それが芸術であり、人間であると思います。
by CHDproduction | 2005-09-11 02:17 | in the Music World