人気ブログランキング | 話題のタグを見る

才能

以前から欲しかったリチャード・ボナのアルバム「tiki」を聴いております。
才能_c0035093_2323619.jpg


この人、アフリカはカメルーンの出身で
ミュージックシーンで注目され始めた頃は
「ジャコの再来」なんて言われた素晴らしいジャズベーシスト。
アフリカの大地で身につけたビート感をジャズに盛り込んで
「アフリカ系」なんて分類されたりね。
ちゃんと聴いたこと無かったので聴いてみたかったのです。
で、買って聴いてみまして・・・
ソロアルバムなので超絶テクニック満載かと思いきや、そんなの全然無くてですね。
柔らかなメロディに、優しいボーカル。
アフリカはもとより、ラテン、インド、その他たくさんのグローバルなリズムを
美しく融合させた曲の数々。
聴いていて、本当に優しい気持ち、心地よい気分にさせられてしまうのです。
本業であるベースは割と控えめですが素晴らしいグルーブ感は絶品。
フレットレスでは流れるように歌い、「ジャコの再来」と呼ばれる片鱗が見えます。
大したことしてなくても「この人超~~うめーよ!」って解るっていうのかな。

・・・なんかね、ある意味、ジャコを初めて聴いたときよりショック。
なんなんだこの才能は。どうやったらこんなセンスが身に付くんだろうか。
人種の違いによって再現できないビート感があるということは
Earth,Wind & Fireをコピーして実感済みなんだけど
もうね、ベース云々の話じゃなくてね。
ミュージシャンとして、芸術家として、いや人として?
卓越した才能の持ち主なんだなあという感じです。
僕はベーシストとしては
「芸術家(アーティスト)ではなく職人(プレイヤー)であること」を信条として
これまでやってきました。
これからもそれはかわらないでしょうし
リチャード・ボナの才能を、うらやましいとか、そういう風にも思いません。
しかし、ベースあるいは音楽について
どうのこうのと御託を並べる自分が非常に恥ずかしい気分になりました。
いろんな意味で「狭い」よな、俺って。
そう感じました。
ベースを始めて21年。これから自分はどこへ向かっていけばいいのか。
なんだかよくわからなくなってきました。
今さら悩むことではないのでしょうか?
それとも長くやってきたからこその疑問なのでしょうか?
深い問題なのかもしれないけど
答えは出ないのかもしれないけど
考えてみるにはいい季節になったのかもしれません。
by CHDproduction | 2006-09-05 00:12 | in the Music World